『
容疑者Xの献身 』 が文庫化されていたので、買って読んでみた。『 このミステリーがすごい! 』 でも、たしか第1位を取っていたのに加え、フジテレビが同シリーズを 『 ガリレオ 』 のタイトルで、ドラマ化。そして、この秋、遂に探偵ガリレオシリーズの最新作として映画化するということで、ちょっと興味を惹かれたのだ。
非モテの天才数学者が、アパートの隣人の母娘が犯した殺人を隠匿しようと数々の指示を与え、彼女たちを庇うためにあるトリックを仕掛ける。警察は彼の仕掛けたトリックに見事に騙されるが、天才数学者と大学の同期でもあったガリレオ探偵こと物理学者、湯川学は、彼の仕掛けたトリックに気付き、その意図に苦悩する。そのトリックには、献身的とも呼べる深い純粋な愛が隠れていたからだ。
タイトルからも想像できるように、はなしは至極単純かつ、ミステリとしてはありがちで、結局のところ、焦点は容疑者が仕掛けたトリックに尽きる。400頁足らずの小説中、実に360頁ぐらいまでは、「 騙された・・・。こりゃ、フジテレビ(制作:亀山千広)が仕掛けとんな。 『 このミス 』 も巻き込んでの出来レースというか、壮大なメディアミックス戦略が垣間見えるわ!非モテの天才数学者が、なんで堤真一やねん。あんなん隣に住んどったら、奥さんもそっちになびくちゅーねん。どー考えても容疑者Xは、温水さんか、蛭子さんか、脳科学者の茂木健一郎やでー。 」
と、「 このミスも終わったな。 」 と半ば腐しながら読んでいたが、トリックの真相解明の段に来たとき、さすがに唸った。しかし、それにしたって、これが1位か・・・。なにも映画にせんでも、2時間拡大スペシャルドラマでええやん・・・。読み終わった後、なんとなく手塚治虫の 『 ブラック・ジャック 』 を連想した。