【注意!記事は多分にネタバレを含んでいます。これから鑑賞予定の方は、映画鑑賞後に読むことをおすすめします。】
先行上映で 『
レミーのおいしいレストラン 』 を観た。PIXAR とブラッド・バード監督( 『 アイアン・ジャイアント 』 『 Mr.インクレディブル 』 の監督 ) の組み合わせということで、全幅の信頼と多大な期待をもって望んだが、こ、こ、これが・・・。
前知識といえば劇場のポスターぐらいのもので、それですらどんな映画かおおよそ察しが付くもの。スプーンを持ったネズミと間抜け顔のシェフ、「 この夏-パリの街角で “おいしい奇跡” を召し上がれ。 」 というコピーから、だいたいこんな映画かなーと思って観たら、寸分違わずそんな映画だった。
そんなわけで、髪の毛1本1本、下水の水のうねりなど忠実に再現されたCGも最早驚くにも値せず。脚本も驚きも捻りもないある種予定調和。くわえてキャラクターに全く魅力がないのはどーしたものか・・・いったい、この映画でなにを表現したかったのだろう?という思いばかりが募った。
パリにある高級レストラン “ グストー ” 。「 真の情熱さえあれば誰でもシェフになれる 」 を信条とする天才シェフ、グストー。が、しかし料理評論家イーゴの酷評によって、5つ星から4つ星レストランに格下げされる。その直後にグストーは亡くなり、料理界の慣例によりさらに降格、3つ星のレストランとなってしまう。
そんな折り時を同じくして、このレストランにやってきたのが、レミーというネズミ(ここに来る以前のおばーさんとの“掴み”のシーンもいらないような・・・) とリングイニ という料理の苦手な見習いシェフ。
嗅覚に長け、料理好きなレミーがリングイニを操って、グストーのレストランを盛りたてていくというストーリーになるのだが・・・。このリングイニというキャラクターがなにをしたいのかなにになりたいのかよくわからない。ホントに、ただのネズミに操られる人形のようなキャラクターだった。
亡きグストーの名前を利用して、食品会社と組んでグストーのレトルト食品を販売するスキナーという現料理長がいたりして、そーいった実際のマーケットにもありがちな細かいディティールとかは凝っていたりするのだが、どこかで見たようなどこかで聞いたような二番煎じと言おうか、PIXAR 作品にあって、この 『 レミーのおいしいレストラン 』 はマンネリ感すら漂っているように感じた。
最後に、料理評論家のイーゴに出す料理といったら・・・選んだ料理もそーだし、イーゴが一口口に入れた瞬間の描写などは、『 美味しんぼ 』 か 『 ミスター味っ子 』 か見間違うほどに、失笑まじりに椅子からずり落ちそうになった。またそのときイーゴを含むグスコーの客に出された料理の裏側を知ると、いくらファンタジーといえども 「 あー、良かった良かった。 」 と納得できる観客がどれほどいるのか?少々悪乗りが過ぎる。