劇場公開時から観たかった 『
ダーウィンの悪夢 』 が TSUTAYA に並んでいたので借りて観てみた。( 結局、こーやって観たい映画は新作でもレンタルで借りてしまうので、スカパー!に入ってる意味が・・・。 )
アフリカの真ん中あたりに、淡水湖としては世界第2位の大きさを誇るヴィクトリア湖という湖がある。数十年前に誰かが放流したナイルパーチという外来魚が、やがてヴィクトリア湖の生態系を一変させる。大型で肉食のナイルパーチは、それまで住んでいた生物を駆逐し圧倒的繁殖を続け、その数を増やしていった・・・。とここまで読むと、日本の琵琶湖でも同様の問題に直面している話をニュースなどでよく見聞きするが、『 ダーウィンの悪夢 』 の公開時に紹介文を読んで、このドキュメント映画を観たいと思ったのは、生態系の破壊が湖内に止まらず、湖畔に住む人間にも波及したことに興味を惹かれたからだ。
ナイルパーチは食用魚として重宝された。産業もなにもないタンザニアの街に、IMF だか世界銀行だか外国からの資本が入って、ナイルパーチを食品加工する工場が造られる。食品工場に携わる一部の人間は潤ったが、職にあぶれた多くの人たちは貧困に身をやつしていく。生活苦のため、ナイルパーチを求めてやってくるビジネスマンや漁師を相手に女たちは売春婦に・・・。やがてはエイズに犯され、親を失った子供たちはストリートチルドレンと化す。
暴力や貧困を忘れるため、ナイルパーチの梱包材を火であぶり鼻から吸引する子供たち。加工工場から出た頭と骨だけになったナイルパーチ(切り身部分は外国に輸出される)の残骸を手にもつ子供たちの姿は非常にショッキングだ。
ナイルパーチという外来魚に端を発したダーウィンの悪夢を、資本主義やグローバリゼーションなるものが加速させる。このナイルパーチは、EU や日本にも 「 スズキ 」 や 「 白スズキ 」 の代用品として輸出され、外食産業や給食などで白身のフライとして提供されているという。この生態系の末端を供与される側として自分たちが担っているだけに、映画を観ていて鬱々とした気分になった。