『
運命じゃない人 』 という映画がおもしろいと聞いたので、まったく予備知識を入れずに、TSUTAYA の店員さんに探してもらって借りて観てみた。
思い詰めた顔の女がひとり駅のホームで佇んで、左薬指の指輪を外そうとしている。長回しのカットが、なんとも暗くて重くてつまらなそうな映画だなーと、やっぱ今晩観るの止めようかと 「 停止 」 ボタンを押しかける。
レストランに入った女はひとり席について、どーやら婚約破棄の憂き目にあったことが知れる。「 自分の幸せを他人に託すことが間違いだった・・・。これからはひとりで生きていくんだ。 」 と呟く。そこで、向かいのテーブルにいる2人組の男の片方から声をかけられる。「 ひとり?良かったらこっちに来ない?大勢で食べた方がご飯は美味しいよ。 」
シーンが変わって、冴えない感じの30才前のサラリーマンの日常が描かれる。夜、会社から一人暮らしのマンションの部屋に帰ってくると、電話が鳴る。中学生のときからの親友で、いまは探偵をやっている男からの電話だった。「 大事な話があるからいますぐ外に出てこいよ。飯行こ、飯。大事な話なんだ、いますぐ! 」 ということで出掛けていった先が、前のエピソードで婚約破棄の憂き目にあった女がいるレストラン。そこで女に声をかけた2人組の男の片方というのが、探偵の男だということがわかって2つのエピソードがこの時間この場所でリンクする。
ははー。この映画はこーいう映画なのかと知れて、あとはエンドロールまで一気に観てしまった。時系列をバラバラに組み替えて、とある事件を様々な登場人物の視点と角度からみていく映画は、そうめずらしいことではないので、途中から目を皿のようにして注意深く観ていたけれども、「 ははーん。その時点で、そこと繋がっていたのか!? 」 と何度も唸ってしまった。
これがデビュー作の内田けんじ監督。来年5月公開予定の大泉洋 主演 『 アフタースクール 』 という作品でメジャー進出ということで、ちょっと楽しみなのだった。