脳天気に正義を振りかざす変身ヒーローの中で、幼い頃、両親を目の前で殺されるというトラウマをもつ BATMAN は、心に闇を抱えコウモリに魅せられ、悪という存在の根絶を誓う。如何にして、ブルース・ウェインが BATMAN になっていくのか?が描かれるのが、本作 『 BATMAN BEGINS 』 だ。
けっして超絶的な能力の持ち主=スーパーヒーローにしないという意味で、『 SPIDERMAN 』 でも見られるこの等身大のヒーロー像という人物描写は、この 『 BATMAN BEGINS 』 でも健在だ。如何にして BATMAN のスーツが作られるのか?如何にして BATMOBILE が登場するのか?といったエピソードがゴッサムシティの街並みと合わせて、過去のどの BATMAN シリーズよりも現実味を帯びたものになっている。( BATMAN のマスクの耳部分が中国の企業に外注に出しているというのには笑ってしまった ) だが、ブルース・ウェインが武者修行するヒマラヤ?麓に渡辺謙 率いる忍者集団?がいたりして、やってしまった感漂うこのシチュエーションに興味を削がれる冒頭30分だった・・・リーアム・ニーソン、またこんな役(武術指南役)かよ。
当初、空を飛べない BATMAN は、夜な夜な真っ黒なスーツに身を包み壁の配管をよじ登って、敵のアジト?を偵察する。ベランダに出てみたら、真っ黒いスーツにコスプレしたおっさんが、上の階の部屋を覗き見てるのは、変質者以外の何者でもないのだが・・・初期の BATMAN は、「 颯爽 」 という言葉とは程遠いのだった。
もともと、心に闇を抱えるダークヒーローというティム・バートン版 『 BATMAN 』 が結構好きだったこともあり・・・アクション面でいえば、『 SPIDERMAN 』 のビルからビルへと飛び回るスパイダーアクションの気持ちよさにも届かず、いささか期待はずれな出来だった。