若き日の空海が、修験の地として選んだ石鎚山は、登頂後半にかけて、3つ (正確には4つ) の鎖場がある。下の方から、試しの鎖(74m)、一の鎖(33m)、二の鎖(65m)、三の鎖(68m) だ。もちろん、各鎖場の横に、登れないまたは登らない人(大多数の人は登っていない雰囲気)のために迂回路が用意されているが、せっかく来たのだから、登ってやる、登ってやる、登ってやるぞな気分満々だったが、何故か前社ヶ森小屋前にある 「試しの鎖」 前後の登山道が異常につらく、山頂までの中間地点を前にして疲れのピークを迎えた(ぉぃ
「体力に自信のない人は素直に迂回路にお回り下さい」 的な看板の文言が、観光地の注意書きでない、突き放したなにかを感じたわたしは、足を滑らせて手を放してしまい、絶壁を真っ逆様に落ちていく姿を、簡単に想像できたので、「 試しの鎖 」 をあっさり回避。試しなぞいらん。本番は一、二、三の鎖じゃ。モウルもジラフもルフィン( by 永遠の仔 ) も試しの鎖なぞ登らなかっただろうに(推測)。
山頂に向かってジグザグに急勾配になっていく道の歩き方のコツに気付いたわたしは、体力を徐々に回復。前方を行くスレンダーな若い娘さんを伴った親子連れ3人を追い抜くと、さらにやる気も回復。
女、俺についてこい。
かくして、
石鎚山の開祖 役の行者の崇高な祈願*1 とは裏腹に、不純な動機を胸に鎖場を登ろうとする男が一人ここにいる。
*1・・・石鎚山の開祖 役の行者が現在の石鎚神社 中宮成就社海抜1450mの所に登山し心身を清め、石鎚大神の神霊を拝さんと祈願したが、なかなか霊験を得られず、力つきて下山しようとした時老人に出会った。老人は斧を砥石で磨いていて行者の問いに答えて曰く、「之を磨いて針にするのだ」 と。この言葉に行者は挫折してはならない 「成せば成る」 と自分に言い聞かせ、再び行を続け大神の霊験を得る事が出来、石鎚山(西日本最高峰)を開山したものです。(石鎚登山ロープウェイ株式会社のパンフレットより一部抜粋)
西日本最高峰の頂に立つ。 その5 へとつづく。