タイトルだけ聞くと、間違いなく B級映画のそれで、出てくるクリーチャーはしょぼいかもしれないけど、アメリカ軍とのドンパチが要所要所にあって、SF アクションとしての爽快感を期待して観ると思う。断言する。その先入観は間違いだ。間違った先入観が、
Yahoo!映画 のような惨憺たる評価へと導くのだろう。全くもって、信じられない事であり、不幸だ。
現に、こんなタイトルでありながら、劇中、ほとんどモンスターは出てこない。100分程の映画中、5~10分も出てくるかどーかだ。この映画は、モンスターがいる日常の世界を描いている人間ドラマとして観る必要がある。
6年前に、NASA が地球外生命体を確認。そのサンプルを地球に持って帰ってくる途中、大気中で爆発させてしまう。それはメキシコ上空に降り注ぎ、モンスターが繁殖する危険地帯と化す。この映画は、メキシコに滞在しているサムという社長令嬢を戦場カメラマンの男がアメリカまで連れ帰るロードムービーなのだ。
モンスターがほとんど出てこない事は、この映画にとって、あまり重要な事ではない。何故なら、劇中、アメリカ軍はモンスターの掃討作戦を適宜行っているが、モンスターによる被害よりも空爆による付近住民への被害の方が甚大なのが、映画を観ているとわかる。モンスターとはいうのは、現実の世界の何かの象徴として存在している事が感じ取れる。
そーいう観点で、この映画を観ると全くもって素晴らしい。極めて低予算で撮られているが、数少ないモンスターの登場シーンも極めて効果的だ。よもや巨大なモンスターから、人間賛歌にも似た感動を得るとは想像もしなかった。美しもあり、愚かな映画だ。
90点。