ありえない少女のイナバウアーのような反りに、思わずパッケージを手に取ったのは、 『 ラスト・エクソシズム 』 。
悪魔祓い(エクソシズム)を題材としたモキュメンタリー映画だった。モキュメンタリー流行りだのー。主人公のマーカス牧師は、実は神など信じていない。自分の子供が大きな病気になったとき、神に祈らず医師を頼った。しかし、彼は得意の話術とマジックの才能で、教会に訪れる信徒を魅了する。そーいう点で彼は敬虔な牧師というよりもパフォーマーであり、エンターテイナーだ。ビジネスとして、牧師を生業としている。
彼は悪魔祓いも行うが、それは決してオカルト的な行為ではない。悪魔に取り憑かれたと悩める子羊たちが、それを期待するのなら、マーカス牧師は得意の話術とマジックでそれを演出する。ガタガタと震える壁の額縁は、牧師が事前に紐を結び、地の底から響くような悪魔の声は、彼のiPodに何百種類と入っている。
彼自身がインチキと称するエクソシズムの裏側を、撮影スタッフに撮ってくれ!と頼んだのが、他ならぬこの映画という体である。彼は、心底インチキな悪魔祓いの行為に嫌気がさし、足を洗おうとしていた矢先の事だった。
自分のもとに郵送された悪魔祓いの依頼の封筒の束から、1通の封書を抜き出す。この田舎の農場から届いた悪魔祓いの裏側の一部始終を撮影する為に、スタッフを連れてクルマで向かう。それが、タイトルにある通り、最後の悪魔祓いとなった・・・。
オカルトを、現実的に地に足の着いた解釈で理解しようとする牧師と撮影スタッフの姿勢に、神だとか悪魔だとかという概念が薄い我々は共感を覚える。しかし、これから彼らが田舎の農場で、ホンマもんの悪魔に出会うんだろうなーという展開は容易に想像できる。しかし、農場に着いてからも、彼らは目の前で起こる現象に対して、それでも現実的解釈で臨もうとする。そーいう点では、ホラー映画のような派手な怖さはないが、実に面白い。
現実的解釈で粘る。どこまでも粘る。なるほど、そーだったのか・・・と二転三転した矢先、物語は急展開を迎える。最後に出てきたそれは、一言でいうと陳腐。それまで反対の方に振れていた針が一気に逆方向に振れてしまったよう・・・。70点。