所謂ブランドだとか高級なものへの物欲は、とうの昔にカオサンロードの安宿に捨ててきた。そこに長引く不況、あるいは 「 なんだ!ネットで買った方が圧倒的に安いやん? 」 ということを知ってしまったので、心のどこかにある物欲のオアシスはカラカラに干上がっている。
持っていないものを欲するならまだしも、いまあるものを買い換えようなど・・・どこかの大企業が 「 エコ替え 」 などと称して盛んに消費を煽っているが、勝手にやってろ!と思う。
単なるセダンだったらスルーしたが、ハイブリッドをお求めやすい値段で出してきた HONDA INSIGHT に惹かれて、HONDA CARS へ。(最早、そんな付加価値を伴わないとセダンへの食指がピクリとも動かない自分自身のクルマ[ BEAT 除く ]への興味のなさっぷりに、改めて吃驚した)
TOYOTA PRIUS とのスタイリングの類似性が指摘される新型 INSIGHT だが、間近に見るとあまりそれを感じることはなかった。事前に写真で見るに、もっと安っぽいのかと思ったが、ドアシルの太さやフロントバルクヘッド周りの遮音が効いているのか室内は至って静か。1,300cc のエンジン+電気モーターということだが、試乗した限り、もっと上のクラスの車格感すら感じる。
ハイブリッドと聞いて受ける如何にも行儀のいい乗り心地じゃなく、HONDA らしいビシッとした足回りは好印象。ただ、惜しむらくは居住性に難あり。特に後席のそれはいまどきの4ドアセダンを期待して乗り込むとがっかりどころか、エコノミー症候群になりそうなぐらいに圧迫感を感じた。
クルマの横に立つと、その時点でいまどきのセダンらしからぬ屋根の低さに驚く。リアのドアを開けると開口部の形状からして乗降性の悪さを予感する。リアシートに腰掛けて横を見ると、ちょうど目線がリアウィンドウ上部にくるという有様。80年代後半~90年代の4ドアハードトップ車ないし、「 これは4ドアクーペなんだ! 」 という気概で乗るとちょうどいいかも・・・。前席は快適でした。
見積を書いてもらうと、ディーラーは盛んに工場オプションのカーナビを勧める。それを付けてもらうことで、ハイブリッド走行をあらわす一連のギミックがカーナビ画面に連動して表示されると言う。(カーナビ自体はHDDナビということだったが、試乗中ある程度縮尺を拡大したが、道が線のままで、建物の影さえ出ないのにはがっかり・・・。)バックモニターとセットになってお買得だと説明するが、それやらなにやら足していくとすべて込みで250~260万円といいお値段になった。
ハイブリッドそれ自体の機能は、普通車に乗るのと何ら変わらないもので、唯一エンジンブレーキの減速時にそれとわかる癖(ブレーキがよく効く)があるぐらいで、エンジンとの高い親和性を感じた・・・というか、HONDA のハイブリッドはあくまでエンジンが主役。
自分の身の回りの生活環境が変わったら、次期車両候補としていいかと思うが、それにしたって後席の居住性の悪さは5ナンバーボディのクルマとはいえなんとかならなかったものか・・・。