カフェド伊万里を後にした我々一行は、敦賀に向かうべくJR武生駅へと戻った。しかし、敦賀行きの列車はいまさっき出たばかりらしく、次の到着まで約1時間の待ち時間がある。わたしだけなら駅前のアル・プラザで適当に時間を潰すところだが、鉄である友人は提案する。
JR武生駅から歩いて5分のところにある私鉄・福井鉄道の武生新駅に行って敦賀とは逆の鯖江方面の列車に乗ろう。西鯖江駅あたりで降りて JR鯖江駅に向かって歩き、ちょうどそのぐらいの時間に来るであろう敦賀行きの列車に乗ろう。JR武生駅で待てば来る列車を、こちら側から私鉄を利用して、JR鯖江駅まで迎えに行こうという提案だった。
そこに何の意味があるのか?と聞かれたら、わたしもわからない(笑) ただ鉄の気持ちになって想像するに、私鉄・福井鉄道の列車に乗車できる・・・ということぐらいだろうか?彼は鉄のなかでも “乗り鉄” に分類されるのか。昔から、ツーリングなどでも来た道を帰らない、往路と復路は違える彼のことだから、この提案には別段驚かなかった。わたしはわたしで、先日見て感銘を受けた 『 電脳コイル 』 の舞台となった街が、一説によると眼鏡産業の盛んな 「 鯖江 」 だと小耳に挟んだので、その街並みをちょっと見たくもあったのだ。
私鉄・福井鉄道の列車は、それはそれはお寒いものだった。車内の広告はこのご時世だけにスポンサーが付かないのか、地元の小学生が色鉛筆で描いたと思われる福井鉄道の列車の塗り絵が飾られていた。乗客の数もまばらだった・・・。それでも友人は 「 なぜかこの辺は、新武生駅じゃなくて、新を後ろに持ってきて武生新駅とするような名前が多いんだ。 」 と満足そうだった。
西鯖江駅で下車して、JR鯖江駅を目指して、鯖江の街を束の間散策する。しかし、『 電脳コイル 』 で見た大黒市の街並みとは似ても似つかない程旧い街並みだった。JR鯖江駅に着くと、ちょうど来た列車に飛び乗り敦賀へと向かった。
予想に反して、敦賀へと向かう列車も人で混んでいた。ドア付近に立って、窓の外を見ていた。敦賀手前の今庄の辺りは、深い雪に被われていた。真っ白な深雪の上に走っていって、仰向けになって大の字にダイブしたい妄想に囚われるが、現実的な欲望の前にそれも走り去る列車後方へと吹き飛ばされていった。
ソースカツ丼を食べに、敦賀に降り立った我々は、とんでもないものを目にすることになる!?
予想に反して、青春18きっぷの旅 -敦賀・武生- 後々編 へとつづく。