まったく期待せずに観た 『
キングダム -見えざる敵- 』 が面白かった。絶対君主制を敷く王国サウジアラビアの外国人居住区で起こった銃乱射事件とそれに続く爆破事件、これらのテロ行為の捜索に FBI のエキスパート4人が乗り出す。
まず、オープニングがかっこええ。アメリカがいかにしてサウジアラビアの石油採掘の利権に食い込んでいったかという双方の国の関係とテロの歴史が、カイル・クーパー風オープニング・クレジットのなかで早口で語られる。
次に主人公たち FBI 4人と協力するサウジアラビアの警官のキャラが立っている。ジェイミー・フォックスはかっこええわ、厳格な父親役をやらせたらこの人!のクリス・クーパーは爆弾のエキスパートだし、女性でありながらジェニファー・ガーナーの奮闘ぶり!ちょっと、映画 『 逃亡者 』 のトミー・リー・ジョーンズ (缶コーヒーBOSS のおっちゃん)が演じた連邦保安官補サミュエル・ジェラードとそのチームを彷彿とさせる。
舞台がサウジアラビア。未開のジャングルに潜むプレデターの森に入っていくのと同じぐらいに、よくわからない政情の国に外国人として入っていくのがいかに怖いか感じる。映画の後半で、テロリストに拉致される場面が出てくるが 「 拉致られる 」 = 「 首斬り 」 が待っていた!?やっぱりプレデターよりも怖いですわ、プレデターは実際いてないですもん。
銃撃戦がかっこいい。制作にマイケル・マン( 12分間の銃撃戦の映画 『 ヒート 』 の監督)が加わってるのも納得の市街地での銃撃戦の乾いた銃声と、臨場感ある画面にしびれる。しかし、屋上から丸見えのクルマの陰に隠れる主人公たちには弾が当たらないのに、主人公たちが撃った弾丸は面白いように当たるのは、娯楽映画とはそーいうものだとはいえ思わず突っ込まずにはいられない。
『 ダイ・ハード 』 のようなこれでもか!というアクションを期待していくとがっかりするが、爆発現場からテロ行為の首謀者を割り出していく過程は、ジェフリー・ディーヴァーの小説を読むようで面白かった。アメリカ人にとってのテロ殲滅という正義が、サウジアラビアの国民にとってはテロ行為に他ならないというのは、終始主人公たち FBI 目線で進行するストーリーながらも、非常にニュートラルな姿勢を感じた。双方の立場の人間が、最後に耳元で囁く台詞が秀逸。