ビルマ(ミャンマー)語で、「 行かず後家 」 のことを 「 ルピョーレー(若い男性に対する呼称) / アピョーレー(若い女性に対する呼称) 」 と言うそうな・・・。当時、まだ情報センター出版局からは、『 旅の指さし会話帳 44 ミャンマー語 』 は発売されていなかったので、わたしだけの指さし会話帳を作ろうと、『 旅の指さし会話帳 1 タイ語 (加川博之 著) 』 を下敷きにして、『 暗黒・旅の指さし会話帳 ビルマ(ミャンマー)語 』 なるものを制作しようと、昼となく夜となく奔走していた。実は、飲んだくれて酔っ払ってバカ騒ぎしていただけとも・・・。
核家族社会の進んだ日本と異なり、大家族社会で構成されるビルマの男女の婚姻は、もっぱら男性が女性の実家に足繁く通う 「 通い婚 」 だと聞く。親兄弟・親類縁者の絆の強い大家族社会が故に、男が女方の家に認められることはなかなか容易なことではないような気がする。自ずとわたしのまわりで飲んだくれているビルマ人は、ルピョーレーばかりだった。ルピョーレーどころか、30歳以上の 「 行かず後家 (ルピョージー/アピョージー) 」 、40歳以上の 「 行かず後家 (ルピョードージー/アピョードージー) 」 もビルマ社会には多かった。
変なビルマ語を喋る外国人をいいことに、アピョーレーの輪の中に入っていって、その辺のことも含めていろいろと聞いてみた。「 きみもシングルなのか? 」 「 きみも? 」 「 きみも? 」 「 きみも? 」 とやって、ちいさい女の子にも 「 きみもシングルか?・・・わたしもシングルだ。」
「 アーロン メンカリィ、チャノウ アピョーレー バーデー! 」 (なんだ、すべての女性もわたしも
行かず後家 じゃないか!)
とやったら、場がどっと沸いた。古い因習的な生活のなかにでも、日々明るく生きる女性の生活力を感じる。反面、男たちは酒に溺れるか、隅の方に集まってうじうじとしょぼくれる愛すべきダメおやじの姿がそこにあった。この世は女性でもっているという感をますます強くした。