ベタベタなメロドラマはご遠慮願いたいが、ラブコメは好きで割合よく観ます。なかでもドリュー・バリモア主演のその手の映画は、男のわたしからみても楽しめて、年末に観た 『
2番目のキス 』 は拾いものの一作だった。
日本の映画配給会社の宣伝戦略なのか、彼女の一連のラブコメ作品は、『 50回目のファーストキス 』 や 『 25年目のキス 』 といったように 「 ~のキス 」 と邦題を付けるのが定番のようになっていて、どーしても男の側からすると、TUTAYA の棚に並んだそれらパッケージに手が伸びにくかったりする訳なんですが、このファレリー兄弟の新作 『 2番目のキス 』 は原題を 『 FEVER PITCH 』 と、邦題と何の関係もなかったりします。『 2番目のキス 』 は熱狂的な野球(ボストン・レッドソックス)ファンの話だったりします。
ボストン・レッドソックスとニューヨーク・ヤンキースを応援するそれぞれのファンの関係は、日本でいう阪神タイガースと読売ジャイアンツのそれとよく似ているもしくは、それ以上だったりするようです。熱狂的なファンにとっては、両チームに関する様々なエピソードがあるようで、
バンビーノの呪い *1 がその最たるものらしい。『 2番目のキス 』 は、86年にも渡ったその呪いが解かれることになった2004年のシーズンをドリュー・バリモアとジミー・ファロンの恋愛劇にうまく絡ませている(らしい、この辺うろ覚え)。
シーズンオフに知り合った彼(高校の数学教師)はとてもまめでいい人だったが、ひとたび野球シーズンが始まると豹変。週末、家族に会ってもらおうと彼に声をかけると、「 明日はキャンプが・・・。 」 とつれない返事。実家の父とテレビのニュースを見ていると、レッドソックスのキャンプ地で応援に駆けつけたファンの最前列にマスコミのインタビューに応える豹変した彼の顔がテレビに大写しになる(笑) また年間チケットを持っている彼の家に集まるレッドソックスファンは、痛い大きなオトモダチばかりというなんとも大人子供な彼氏なのだった。
趣味(レッドソックス)と彼女の間で思い悩む彼に、醒めた教え子のひとりは呟く。
「 先生がいくらレッドソックスが好きでも、レッドソックスはなにも先生には与えないよ。 」
観ているわたしの胸にもグサグサくるそれを言っちゃーおしまいよーなひとこと・・・という 『 2番目のキス 』 は、まことに大きなオトモダチ泣かせなラブコメなのだった。
*1・・・その昔、経営難にあえぐレッドソックスは、金銭トレードというかたちで、ベーブ・ルースをヤンキースにトレードした。それを期に、ヤンキースの成績は伸び始め、レッドソックスは低迷の歴史を歩む。それ以降も4度のワールドシリーズに進出するものの、優勝することができなかった。これらをベーブ・ルースの愛称 「 バンビーノ 」 に因んで、
バンビーノの呪い と呼ぶようになった。