早いもので、もう11月。ことしも残すところ2ヶ月を切りました。今年の話題作の数々が、そろそろTUTAYA の棚に並ぶ頃なので、年末のACIDリスナーが選ぶベスト10 を見据えて、いまさらながらに、『 ダ・ヴィンチ・コード 』 を観ました。
映画公開当時に原作本は面白く読んでいたので、さて、映画はどんな風に表現されているのか?と鑑賞しましたが、2時間半の尺のなかで、あの長大な原作をうまく収めたなと。極端にエピソードを端折ることなく、幕の内弁当のように要所要所を盛り込んだ非常に原作に忠実な映画化だったように思います。
原作を読んでいたわたしは補完しつつ映画を観ましたので、この特急列車のように進行するストーリーに脱落することなくラストまで観られましたが、これは原作を読んでいないとつらいのではないでしょうか。中盤部分の謎解き(といってもこじつけに近いものですが)も大急ぎでストーリーが進行していくので、提示された謎が次のカットには主人公たちによってそれほど悩むことなく解かれているという具合で深みもなにもあったもんじゃない。観客が考える間もなく解かれるので、「なるほど!」 「そーだったのか!?」 というカタルシスもなく、解かれた謎のその余韻に浸る間もないといった具合で、なんとも慌ただしい、必ずしも原作に忠実な映画が面白いわけではないということを実感できる映画だった。
すこし早いですが、ことしの映画を振り返るに、総じて昨年以上に不作続きだった1年だったと感じます。それはハリウッド映画に顕著で、続編ものや過去の作品、外国映画のリメイクでお茶を濁すような状況で・・・ハリウッドの危機はなかなか深刻なように思います。
反対に好調だと囁かれる我が邦画も、織田裕二主演 『 椿三十郎 』 のリメイクのニュースなどを見ると、何をか言わんやです。