平日の昼間だというのに、レンタルビデオ店の韓流コーナーの角を曲がると、中年女性の多さにちょっと驚く。そんななかでも新作に並んだばかりの 『
親切なクムジャさん 』 はいまだ借りられずにまだ数本残っていた。
誘拐殺人の罪を背負って、13年もの間、刑務所に服役することになったチャングムの人=イ・ヨンエ。彼女は刑務所のなかで、他の囚人に親切にすることでコネクションを増やしていく。恩を受けた囚人は、彼女を 「 親切なクムジャさん 」 と呼ぶようになる。彼女が親切にし恩を売るのには、それなりの訳があった。出所した後に復讐を遂げたい相手がいたのだ。
『 復讐者に憐れみを 』 『 オールド・ボーイ 』 に続くパク・チャヌク監督の復讐三部作の三作目。映像はハリウッド映画のようにスタイリッシュで、冗長に語ることなく、時間軸を行ったり来たりする多様なカットの積み重ねは、観ていても飽きさせない。前作 『 オールド・ボーイ 』 で魅せた神懸かり的な演出はここでも健在か!?残酷なまでの暴力描写には韓国の倫理規定を疑いたくなるが、ギリギリ、エンターテイメントとしての土俵際には残ったと言える。
前半と後半でまったく?異なるはなしになってくるので、その展開には驚いたが、むしろ日本でも最近ニュースになったある事件と照らし合わせて、「自分だったらどーするだろうか?」 と考えてしまった。いずれにしても、ある意味ホラー映画よりも怖い、強烈なインパクトを残すタイプの映画なので、チャングムのイ・ヨンエだからといって見ると後悔しますよ。