会社帰り。携帯から伸びるヘッドフォンを耳にあて、お気に入りの音楽を聴き、乗り換えの駅のホームで文庫本を読みながら電車を待つ。『 博士の愛した数式 』 は、数字や数式というものが人間臭く表現されているので、数学の苦手なわたしでも親近感をもって読み進められる。
「 君はルートだよ。どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルートだ 」 ( 小川洋子 著 『 博士の愛した数式 』 より )
やってきた電車にさも当然のように乗ってみれば、窓の外の景色がぐんぐん後方に流れていくので、「 やってしまった! 」 と後悔する。どこまで連れて行かれるのか?と。下車駅の2つ向こうの駅で止まってくれたことは幸いだった。「 普通 」 電車に乗るはずが、「 準急 」 電車に乗ってしまっていたのだ。
こーいうことは年に1度ないし2度あって、以前は隣県近くまで連れて行かれて泣きそうになったこともあった。小説のなかの、80分しか記憶を保持できない博士じゃないけれども、最近頓にこのようなうっかりが多くて困っている。