誰が呼んだか、「東洋のスイス」 「中国のカトマンズ」 と称される中国南西部、雲南省にある大理(ダーリー)は、旅行者の間でもとても人気のある街です。旅に疲れた旅行者もついつい長居してしまう、世界有数の沈没地の1つです。
当時、大理までのアクセスは、雲南省の省都・昆明(クンミン)からのバスしかなく、所要時間は実に約8時間!?時間通りに到着できれば奇跡に近く、大抵は道路途中でトラブルに見舞われて、1時間2時間の立ち往生は当たり前でした。これらのトラブルに皆慣れたものでバスから全員降ろされて、タバコを吹かしたり、ひまわりの種を食べ散らかしたり、あーだ、こーだと世間話を楽しみつつ、ときにはバスのお尻を皆で押してやったり・・・「 あぁ、またか。 」 ぐらいなもので、さすがは悠久の国 ・ 中国 とこんなところでも感じることができます。
これらのバスは、旅行者のために用意された観光バスでもなんでもないので、商売などで出稼ぎに行く?一般の中国人に混じって乗ることになります。わたしが乗ったときで、40人(もっとか?)中、外国人5人ぐらい乗っていただろうか。雲南省公路汽車客票、55.50元(約660円)とある。(右画像)
日本のこーいった観光バスに乗ると、ひとりひとりの座席空間というのが神経質なぐらいに確保されているが、大理行きのバスは違った。バックパックはバスの屋根の上に放り投げて(網棚ではない!文字通り屋根の上!)、座席は補助椅子まで出してぎゅうぎゅう詰め。それでも外国人のためにそれなりにいい席を空けてくれていたのかもしれないが、隣席の、
耳の穴からとんでもなく長い毛が生えている中国人*1 と肌と肌とのお付き合い。自分の背丈ほどもある麻袋を積み込む出稼ぎ?のおばちゃんや、家財道具のなにもかも持ち歩いて移動しているのでは?というようなおばちゃんまで乗り込んでくるものだから、車内はさらに狭くなる。
くわえて車中で、ひまわりの種を食べてはカスを床に散らかしたり(ゴミ袋を用意してきれいに使うとかそーいう感覚は皆無)、手鼻はかむわ、中国人の水筒はネスカフェの瓶(休憩所などでお湯だけもらって出涸らしのお茶を飲んでいる)だわで、バスによるこの移動だけはなかなか大変。隣人の中国人と筆談したり、ひまわりの種を分けてもらったり、さながらバスの中は1つの運命共同体のよう・・・。
相変わらず、カタカタと路面の振動で徐々に開いていくスライドガラスから吹き込む寒風に悩まされながらも、うつらうつらと隣人に預けた頭を起こして外を見ると、いつの間にか、一面菜の花畑の世界がひろがっており、大理に近づきつつあることを知った。
▲ 幹線道路沿いの樹木の腰下は一様に白い。害虫防除の一環なのか、夜間を走るバスにそれとわかるようにとガードレール代わりなのか・・・。
*1・・・首筋の大きなホクロから10cmぐらいの長い毛が1本生えていたり・・・これらは中国に限らず、アジアの国々でときどき見かける。たぶん、縁起を担いでいるのかな?と思われる。