噂に違わず、めちゃくちゃ面白かったー。これが単なる恋愛ストーリーじゃない事は、原作未読派のわたしも知っていました。映像化不可能というぐらいだから、叙述トリックを核としているのか・・・つまり、文章表現としては描写できる事が映像表現になると一発でネタバレしてしまうのだろう。しかし、今作はそれを何らかの方法で回避していると言うのか。
それぐらいの心構えで、再生ボタンをポチっとな。冒頭、いきなり推理小説で言うところの「 読者への挑戦状 」ならぬ、「 観客へのお願い 」から始まる。「 この映画には、秘密が隠されているから、観終わった人は他の人には話さないでね。」ときた。『 シックス・センス 』以来のハードルの上げよう。
男なので、松田翔太に感情移入して観る訳です。コンパにやってきたのが、前田敦子な訳ですから、俄然色めき立つ訳なのです。しかし、物語が進むに連れて、「 こいつ、面倒くさい女だなー。」と観客のわたしも思う訳です。で、ラスト5分。『 男女7人秋物語 』のテーマ曲 『 SHOW ME 』が流れた途端、自分も騙された事を知る訳です。このイントロから始まる種明かしは、冗長であり、丁寧過ぎるが、堤幸彦監督の 「 どや。騙されたやろ? 」というターンの前では、ただただテレビの前で、口あんぐりとなるだけなのでした。
よくよく振り返って考えると、ヒントは、実にフェアに随所に配置されている訳ですが、前田敦子に引っ張られて、物語の世界に入ってしまっていたのです。それぐらい、ヒロインの女性が、前田敦子に当て込んで描いたのかというぐらいに、ハマリ役だったのです。
2度、観たくなるのも納得の作品です。
90点。