そろそろ今年の映画ベスト10的なランキングが出てきていますが、そんななかに必ずと言ってもいいぐらいにランキングされているのが、インド映画 『
きっと、うまくいく 』 です。第1次インド映画ブームのときに 『 ムトゥ、踊るマハラジャ 』 と 『 ボンベイ 』 を観て、えらく感銘を受けましたが、劇中とにかく歌って踊るものだから、上映時間が無駄に長い。今回の 『 きっと、うまくいく 』 も、始まってすぐに一時停止させてみると、3時間近い作品だとわかって、ややげんなりする(泣)
冒頭、離陸しようかという飛行機に乗っている男のもとに電話がかかってくる。ランチョーが帰ってくる・・・という内容に、飛行機を無理矢理止めさせて男は降りてしまう。ランチョーに会うために・・・。
まだ寝ているある男のもとにも電話がかかってきて、ランチョーが帰ってくるぞ、と聞く。電話を受けた男は、ズボンを履くのも忘れて、家の外に出ていってしまった。(劇中、この男の実家に行く場面が何度かあるのだが、画面のトーンが変わるのが、面白かった)
ランチョーを含む彼ら3人は、昔インドのエリート工科大学に通っていた3バカクラスメイトだったが、ランチョーだけは大学を卒業後、行方知れずとなっていた。物語は、現在のランチョーの行方を辿りつつ、大学時代の彼らの姿とが交互に描かれる。
飛行機を止めさせたり、ズボンを履くのも忘れる程の・・・ランチョーってどんな人物なんだ?という興味が、この3時間の長い話を引っ張っていく。スパイダーマンに変身する前の、トビー・マグワイアっぽい容姿のランチョー(学生時代)は、勉強もできたが、それよりなにより実際に生活する上での頭が良かった。勉強の為の受験勉強ではなく、生きていく為の勉強ができた。そのエピソードの数々が、なんだか1970年代の日本のTVドラマを見ているようで・・・どこか古臭さを感じつつも、観てしまう。この長い物語に、人生のあらゆる場面が詰まっているからだ。
彼らが、ランチョーという男に魅入られたように、エピソードの数々を知るうちに、わたしも、このランチョーという男を好きになる。物語の最後に、現在のランチョーに再会するのだが、ちょっとした福山雅治のようないい男になっていた。
ただ、あまりの前評判やレビューの評価の高さから、ことしのベストか!?と期待し過ぎたせいもあって、そこまでか・・・と正直思ってしまった。
75点。