現場に着くまでには、まだ少し時間がある。着いてからでは、しばらくすると微妙に小便がしたくなるのが予期できるぐらいの尿意。なんだったら、洋式トイレに座ると大きい方も出るかもしれないぐらいの、この下腹部の事情。
ちょうど新しめのコンビニがあったので、クルマをガレージに止めて、店に入る。余裕たっぷりで 「 トイレ、お借りします。 」 とレジに一声かける。雑誌コーナーの横を悠々と歩いて、トイレのドアを開ける。
左手に個室ドア。ドアには女性用を示すマーク。右手にはやはり個室ドア。こちらは男性用を示すマークと身障者用を示す2つのマークが掲げられている。
( あれ?ここのコンビニは、男性用の小便器はないのか!? )
と訝しみつつ、では仕方ないので男性/身障者用の個室のスライドドアに手をかける。このとき、考え事をしていた事もあり、トイレにそれほど注意を払っていなかった。ガラっと50cm程ドアをスライドさせたところで、洋式トイレに膝までズボンを下ろして座っている30代ぐらいの黒縁メガネをかけたサラリーマンと目を合わす。思わず 「 のわっ! 」 と身を仰け反らす。
洋式トイレの男性も 「 すいません。すいません。すいません。 」 とすいませんを連呼しつつ、おしりを半分程浮かせて、スライドドアを閉めに来ようとする。わたしも 「 すいません。 」 と言い、後退った。
( ホントに、カギぐらい掛けとけよ。 )
と、一応こちらもトイレがしたくて、コンビニに入った手前、雑誌コーナーで30秒程粘っていると 「 いや。待てよ。洋式トイレの男性と鉢合わせするのも気不味いな・・・。向こうはもっと気不味いが・・・。 」 となんだか居たたまれなくなり、結局用を足さずに、すぐにコンビニを飛び出したのだった。