敵役が、『 ノーカントリー 』 で強烈な殺し屋を演じたハビエル・バルデム!まず、これで観たいでしょ。監督が 『 アメリカン・ビューティー 』 のサム・メンデス。今度の007 は、アカデミー作品賞?にノミネートされるんじゃないかっていう前評判を聞いたりもした(煽るのも大概やで!)んで、ひょっとして、ある種、バットマンが 『 ダークナイト 』 で確変したみたいに、これまでのシリーズとは一線を画するものになるのでは?という期待があった。シリアスな人間ドラマをふんだんに盛り込んだスパイアクションに期待した。
冒頭からの怒涛のアクションの連続に、いい意味で裏切られた。特にトレーラーの最後の方に出てくる列車の屋根が剥がれたところに、ジェームズ・ボンドが着地して、袖口を直すシークエンスのかっこ良さ!? 三点着地以来の素晴らしい着地アクションだった。 かっこ良さで言えば、エヴァンゲリヲンQ の冒頭で、ヘルメット、邪魔なんだよ!ってアスカの登場シーンもわたしは 「 うおおおぉぉぉおおお!!! 」 ってなったんですが、このスカイフォールの冒頭のジェームズ・ボンドもそれに負けず劣らずかっこ良かった。
しかし、一連のシーンが一息つくとしばらくの間、賢者タイムになるんですね。MI6 の本部が爆破されたちゅーのに、おねーちゃんと H しているという平常運転のジェームズ・ボンドっぷりが炸裂するんですが、明らかにロートルなんですね、今回のジェームズ・ボンドは・・・。体力も銃の腕もガタ落ちだし・・・。
それなのに、手掛かりを掴もうと敵の乗ったエレベーターを追いかけて、上昇するエレベーターの床下に懸垂で掴まるんですね。え?敵が何階で降りるか見といて、隣のエレベーターで追っかけたらいいんちゃうの?と突っ込まずにはいられなかった。それがとんでもなく高いエレベーターなので、案の定、到着寸前には手を離しそうになってるし・・・(笑) 体力も銃の腕も落ちてるだけでなく、頭までパーなのか?
冒頭の列車のシーンで、列車に積まれたフォルクスワーゲン・ビートルをわざわざ台詞で言わせて、列車から落とす場面がある。そして、映画後半には古いアストンマーチンが出てくる。今回の 007 、映画の随所に英国の復活を描こうとしているかのように感じられた。英国人による英国人の為の、007 だった。
わたしが面白かったのは・・・内外ともに追い込まれた MI6 が、物語の3/4 ぐらい来たところで、素晴らしいチームワークで、ハビエル・バルデムを追い詰める。彼らの正義を貫く国家への忠誠心の賜物に、観ている観客も熱くなる。しかし、その後ハビエル・バルデムとの1対1的な戦いに際して、ジェームズ・ボンドが窮地に追い込まれてからの反撃の契機になる場面が笑った。
その契機になったのも、やはりアストンマーチンだった。袋の中の鼠状態となった 007 。容赦ないハビエル・バルデムの攻撃に、為す術もないのか!?と思っていたら、ハビエル・バルデムの更なる攻撃が・・・!?ヘリからの機銃掃射でボコボコにされるアストンマーチン。ボンドの顔がちょっとだけ豹変するんですね。それを契機にそれまで背後に流れていた音楽が転調して、ボンドの反撃のターンとなるんですね。
愛国心だとか、忠誠心、MI6 の仲間とかじゃなかったのかよ!? いや、古いアストンマーチンこそが、イングランドの象徴なんだと言いたいんだろうけど、このあからさまな演出は、笑うところではなかったのか!?
敵役のハビエル・バルデムは、良かったぁ。もちろん 『 ノーカントリー 』 には遠く及びませんが、登場シーンでの遠くの方からこちらに向かって歩いてくるシーンでの一人芝居も素晴らしかった。生理的にキモイ役をやらせたら、最高だわ!? あと、微妙に軍艦島チックな島が出てくるので、ニヤリとしてしまった。
55点。