1960年代。斜陽となった炭鉱の町( 福島県いわき市 )を盛り上げようと目をつけたのが、フラダンスだった( 『 フラガール 』 )。1990年代。炭鉱閉鎖の騒動から、グリムリーの町を救ったのがブラスバンドによる演奏だった( 『 ブラス! 』 )。
そして、2010年。不況下で活気を失った紙の町、愛媛県四国中央市を盛り上げようと町おこしで始めたのが、
書道パフォーマンスだった。
この手の映画・・・正直、またか・・・と思った。実際観てみると、素晴らしい先例があるだけに、この手の映画を作るのに、これとこれとこの要素を放りこんでおけば、観客は泣きよるねん的な設計図でもあるんじゃないか?というぐらいに、実に卒なくよくできている。序盤から振って振ってした前振りを、後半実に丁寧に1つ1つ拾っていくので、しまいに各エピソードが記号のように感じられる始末。ベタも結構だが、手垢の付いていないエピソードの1つも観たいものだ。病院のシーンなんて 『 ブラス! 』 の露骨なパクリ以外のなにものでもないじゃないか。でも、うるっとくるんですね(笑) ヘッドホンの女の子のエピソードにもうるっとくるんですね(笑)
王道の復興もの?ストーリーに、どこか如何にもなアニメ的なキャラクター(白衣の前をはだけて、やる気なさげで、先生自身も過去にトラウマを持っている。しかし、生徒たちの頑張りに先生自身の自信を取り戻すキャラクターって、何人目だ?)を配置してできたのが、『
書道ガールズ!! わたしたちの甲子園 』 だ・・・?
でもね。なんだかんだ言ってても感動するんですね。居酒屋の便所で見る相田みつをなのかなんなのかが書いた格言にケッ!となるわたしも、羽織袴を着たかわいい女の子が書く書道のパワーには、うるっとくるんですね。劇中、最後に、彼女たち、書道ガールズが何という文字を書いたのか?・・・90年代に 『 ブラス! 』 を見たとき、不況に喘ぐイギリスを他人事のように感じていたわたしが、2010年に、この映画を観たとき、この最後の文字は、清水寺で毎年発表される 「 今年の漢字 」 よりも、胸に強く響いたんですね。