先日、年賀状を作る傍ら、テレビをザッピングしていたところ、ふとリモコンを押す指が止まった。それは、武道館で行われた 「 第38回 全日本空手道選手権大会 決勝 」 を映すものだった。
わたしが空手と聞いてイメージしたのは、所謂 「 組手 」 と呼ばれるそれで、二人が相対して行う竹刀を持たない剣道のようなもの・・・を想像していたが、テレビに映ったそれは、わたしの想像とは全く異なるものだった。
「 形 」 と呼ばれるそれは、一人が仮想の相手に対し攻防の手順を表現する演舞だったのだ。いや、ホントのことを言うと・・・「 形 」 というものが存在することをわたしは記憶の奥底で知っていた。わたしが何に驚いてテレビのリモコンを押す指を止めたのかというと・・・・・・その 「 形 」 を披露する選手の容姿に目を瞠ったのだった。テレビに映った 「 女子 形 決勝 」 の選手は、二人とも、まるで宝塚から抜け出てきたような男役のそれだった。その後も、男子、女子それぞれの 「 組手 」 の決勝、男子の 「 形 」 の決勝も見たが、女子 「 形 」 だけは、明らかに空気が違った。「 女子 形 」 以外は、誰もが想像するスポーツ選手のそれだった。
「 形 」 と呼ばれる演舞を見ていて、まず面白いのは入場するなり何かを叫ぶこと。例えば、下の動画の、宇佐美 里香 選手の場合、「 チャタンヤラ クーシャンクー! 」 っと。わたしは、テレビで最初に見たとき、そのエキゾチックな顔つきから、この娘はタイ人かなにかで、自らの名前を名乗ったのか?と思った。後に出てきた選手は、独特の、そう!まるで歌舞伎役者のような言い回しで 「 スーパー リンペイっ! 」 と絶叫したので、「 あ!この娘は、中国人なのか。日本の空手界も外国人選手に席巻されているのか。 」 と思ったが、スーパーサイヤ人じゃあるまいし、スーパー リンペイはさすがになかろうと思い直し、それが 「 形 」 の名前であることに思い至った。その独特の語呂の面白さに興味を惹かれて、その後もテレビ画面に釘付けとなった。
▲ 第37回 全日本空手道選手権大会 女子形 決勝の様子。第38回も同選手による決勝だったと記憶している。
女子フィギュアスケートならまだしも、空手の形の良し悪しはわたしにはよくわからない。それでも、彼女たちの演舞中の表情が、演舞後のインタビューのそれと全く異なる緊張感を持っていることに素直に感動した。