原作:藤沢周平ということで、 『
花のあと 』 を DVD で観た。
最近の若い俳優さんは随分器用に演技を熟されるが、この映画は違った。冒頭からの主演女優の棒読みっぷりの演技には腰を抜かした。主人公の女性は、幼い頃から父親の剣術指導のせいあって、名うての女剣士となっていた。城下の名門道場に腕試しに行って、門下生の男どもを片っ端から倒したと町中に噂になるほどにだ。随分とハードルを上げるものだと映画を観ていたら、その女性剣士の稽古シーンたるや・・・目も当てられないものだった。
映画は、その後、ただ1度、その女性剣士と竹刀を交わして稽古した下級武士の男性の、江戸での自害の真相を探るはなしとなっていく。冒頭からの主演女優の演技力に、監督も 「 これはまずい。 」 と考えたのか、( ストーリー上の事だろうが )、この主演女優は、物語から次第にフェードアウトしていく。下級武士の自害の真相究明を、自身は安楽椅子探偵よろしく、庄内地方の海坂藩からまんじりとも動かず、許嫁の男性(甲本雅裕)に探らせていく。
まあ、その自害に至った真相というのは、例によっていつもの藤沢周平なのだが、このなんとも頼りのないと思われた許嫁の変貌ぶりは、観ていて面白かった。