レンタルしてみたものの、なんかはなしが重そうだなということで、そのまま放ったらかしだった 『
エミリー・ローズ 』 という映画。これが観始めると面白くて、すっかり、この眉唾のストーリーに惹き込まれたのだった。
悪魔に取り憑かれた女子大生、エミリー・ローズ。まず医学的見地から治療を試みるも症状は改善せず、結局、彼女は神父の元を訪ねるようになる。神父は投薬治療を排除し、悪魔祓いの儀式をすすめるのだった。しかし、その悪魔祓いの儀式も失敗に終わり、その後、エミリー・ローズは衰弱の果てに亡くなってしまう。エミリー・ローズは、この事件の「被害者」となり、神父は彼女を死に至らしめた「被告人」として起訴され、法廷で裁かれることとなった。
なんと、この映画!法廷劇とオカルトの融合を遂げた映画なのである。この切り口は新しい!しかも、この映画、実話をもとにしているというのだから、2度驚きだ。検察はもちろん、発作的な筋肉の収縮からくる精神障害?という医学的見地からはなしを進めようとするが、法廷は回を進めていくにつれ、異様な様相を呈していく。弁護側が、悪魔祓いについてのはなしを持ち出してきたからだ。
最初、検察側は 「 こんな議論を法廷で延々と繰り広げるのか!? 」 と鼻で笑うものの、回が進むにつれて、悪魔祓いのはなしに飲み込まれていく。観ているこちらまでも、そんな突拍子もないはなし!?と驚くが、監督が巧いのは、これ以上進めるとこの与太話がどっちらけになるところを、法廷劇のシーンとそのとき悪魔祓いの儀式でいったい何が起こったのか?という回想のシーンを行きつ戻りつ、ギリギリのところを、まるで綱渡りのロープを渡るかの如く、みせていく。
不思議なもので・・・そーなってくると、オカルトがロジックを上回り、ひょっとするとそーいうこともあるのかな?と映画を観ているこちら側も思えてくる。何のことはない、すっかり、この物語に魅せられているのだ。
新作で、サム・ライミの 『
スペル 』 も観たが、こちら( 『 エミリー・ローズ 』 )の方がずっと面白かった。拾いものの一作。