「 宮本 輝 」と聞いて、どんな作家をイメージしますか?
心が暗黒面に墜ちた、不肖わたくしめは、正直申しますと次のようなイメージを抱いていました。「青が散るー?まった、もー、きれいな言葉ばっかり並べて、女子供が喜んで読む小説を書いてんのんちゃうんー!?」そんなわたくしめがひょんなことから、その、宮本 輝の『 青が散る 』を読む機会に恵まれたのが、かれこれ10年ほど前。
暗黒面のフォースを心にもつわたくしめが読ませていただきましたとも。
新設大学のテニス部員椎名燎平と彼をめぐる男友達、女友達。原色のいのち燃える人生の短い季節を急ぎ駈けぬける者、ためらい立ちどまる者・・・・・・。青春の光芒のあざやかさ、そして切なさとむなしさを、テニスコートに白球を追う若い群像に描き、テニスというスポーツを初めて文学作品にした感動の長編小説。
号泣。
読み終わる頃には、暗黒面に墜ちたはずのフォースが、ジェダイマスターになろうかという勢いで猛烈に
号泣。
この小説の魅力は語り尽くせないが、わたしにとっては、安斎克己の存在と、覇道のテニスの貝谷朝海、「潔癖」と「王道」と色紙に書いた辰巳教授がいるだけで、涙腺を刺激しまくるのだ。まさしく青春小説の金字塔。
わたしも、それが大学時代ではなかったけれども、それがテニスではなかったけれども、スポーツに一心に?打ち込んだ3年間があった。小説の中とのシチュエーションは違えども、当時を振り返るとまさしく、この青春という名の一瞬の世界の中にいたのだ。
自分を省みるに、わたしはほとほと、その青春とやらに未練があるのか?小説でも映画でも、この青春物というのには滅法弱いのだ。ここでいう青春とは、「夕日に向かって、なんとか・・・」とかそーいうものではないということを前もって断わっておく。
そんな訳で、BLOG 「 e-pp1 の世界 」で紹介する小説、映画などを見ていくと、何らかの共通点が見出されることになるだろう。このことは、自分の内面をさらけ出すようで、恥ずかしいのだが、文字通り「 e-pp1 の世界 」(=わたしの世界)ということでご容赦願えたらと思う。
P.S. 『 青が散る 』は、10年ほど前に初めて読んで以後、数年前にも1度読み返したことがあるが、そのときも当時のわたしには変わらず傑作でした。個人的に、わたしの印象に残っているシーンは、燎平とポンクの試合を見つめる辰巳教授のシーンと、安斎のキングサーモンの板にまつわる話。